ピアノ室のある家 施主の感想 [オウチ29・ピアノ室のある家]
今日は金曜日。いつもは自作以外のネタですが、今日は「オウチ29・ピアノ室のある家」の施主様から頂いた完成時のご感想を掲載します。大変褒めて頂き、気恥ずかしいです。
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文:OUCHI-29 施主 Uさん
・自宅購入のきっかけ
私が家を購入しようと考えたきっかけは、勤めている会社の借り上げ社宅制度が無くなり家賃が全額自己負担になることでした。なぜマンションではなく戸建を購入しようと考えたかといいますと、ピアニストの妻が自宅でピアノ教室を開きたいという願いを持っていたためです。
そこで、自宅周辺の新築物件を探したり、中古戸建を探してリフォームすることも選択肢に入れていろいろ探したのですが、どうしても納得のいく物件が見つかりませんでした。結果、思い切って土地を探してそこに自分の納得のいく家を建てようと考えました。
その後、間もなく自宅周辺に小さな土地を見つけたのですが、世田谷区の利便性の良い立地のため高額で、限られた予算の中で家を建てる必要がありました。そのため、建築家の先生にお願いして家を建てる選択肢は金額的に難しいのではと当初は思っていました。
・石川先生との出会い
その頃、書店で手にとった『最高の若手建築家20人』という本の中に掲載されていた石川先生の設計による建築を見て、直感的に「これだ!」と思いました。白と黒を基調にしたシンプルでモダンなデザインが、私の求めている理想に一致していました。石川先生のウェブサイトを何度も拝見し、切妻屋根の「オウチ型」住宅に興味を持ちました。
その後、メールで石川先生に初めてコンタクトを取り、ご相談に伺いました。ピアノ教室ができる防音性のある部屋、ビールが飲めて子どもと星の観察が出来るルーフバルコニー、機能的なコの字型の対面キッチン、子供の勉強スペースがあるリビング、小さな私の書斎など、自分の理想を好き勝手にお伝えしたのですが、石川先生はにこやかにお話を聞いてくださり、最終的にはこれらすべて叶えてくださりました。
住宅模型と手書きでイラストによるプレゼンテーションは印象的でした。ピアノがある家というコンセプトで、スキップフロアと床下納戸を活用し、限られた土地の中に豊かで洗練されたデザインのある空間が創り出されていました。諸般の事情で設計を急ぐ必要があったのですが、石川先生は真摯に対応してくださりました。ちなみに私の住宅は、石川先生の史上最速設計&完成記録だそうです。
・住宅建築から完成まで
古家の解体から更地化を経て、住宅着工となった後は、完成が待ち遠しい数カ月を過ごしました。自分と家族の生活を思い描きながら、石川先生から定期的に送られてくる写真付きの現場レポートをいつも楽しみに読んでおりました。また、私も時々現場に足を運んで、出来上がっていく家を見るのを楽しんでおりました。
もちろん、完成するまではいろいろありました。しかし、石川先生がついていてくださったことで、私はそれを乗り越えることが出来ました。先生は素晴らしい設計をされるだけでなく、経験豊富なアドバイスや現場作戦、関係各所とのコミュニケーションなど、様々な側面でサポートしてくださりました。
同時期に大手ハウスメーカーで住宅を建てた知人がいますが、欠陥住宅だったり、追加でコストが次々に発生して数百万円も予算オーバーしたという話を聞きました。私は若干の追加コストがあったものの、当初の金額からほぼズレることなく、美しく高品質の住宅を得ることが出来ました。私も努力をしましたが、やはり住宅設計・現場管理・クライアントとのコミュニケーションを石川先生が一気通貫して行なってくださったからこそ得られたクオリティと結果だと思います。
・住んでみての感想
第一印象は、近所の住宅とは明らかに異なる個性的な家で、オーラが出ているということです。初めて完成した住宅を見た時はドキッとしました。個性は主張しているのですがどこか穏やかでいやらしくありません。これから妻がピアノ教室を開き、たくさんの生徒さんが訪れることになりますが、印象的なアーチ型入り口の白い家は、きっと評判になるはずです。
住んでみて気づいたのは、洗練されたデザインと機能性が両立した住宅だということです。本設計前のヒアリングの際、私や家族の身長をも石川先生は確認され、その後の設計に反映されていました。石川先生の設計で大工さんが手作りで作ってくださった、まさに世界に一つしかない私と家族のための家だからこそ得られる機能性だと思います。
最後になりますが、普通のサラリーマンの私が、有名な建築家の先生にお願いして自宅を建てられるとは当初思っておりませんでしたが、その夢は実現しました。限られた広さの土地、限られた予算、なのに様々な理想があるという状況を打開することが出来たのは、石川先生という素晴らしいパートナーを得られたからです。これから長く住むことになるこの住宅を、思う存分楽しみたいと思います。
石川淳建築設計事務所
夜景・ピアノ教室としての看板 [オウチ29・ピアノ室のある家]
夜景の玄関UPです。
ピアノの曲線をイメージしたアーチ型の玄関開口ですが、建築のデザインをしている者にとってアーチ型のデザインは使い方が難しいのですが今回はあえて採用しました。
オウチ型のシンプルな輪郭に優しいアーチ型の開口というイメージがピアノ教室のための「看板」として機能するのではないかと考えました。ピアノ教室といえば生徒は子供さんを連想しますが、その子供さん達が白いアーチ型の玄関の家に入ってみたいと興味を持ってもらえればと願いました。
私自身も子供の頃ピアノ教室に通っていましたが、教室は普通の住宅の一角でした。
そこがもしちょっと楽しそうなデザインの家だったら・・・と子供の頃に戻って考えた次第です。
石川淳建築設計事務所
夜景・外観です [オウチ29・ピアノ室のある家]
ピアノ室のある家の掲載もあと2回です。
内部を廻ってきて、外観の夜景写真です。
玄関から内部の光が漏れる事を意図して木ルーバーを使っています。
その他には道路側に開口が無いので夜になると曲線の開口だけが浮かび上がるデザインです。
石川淳建築設計事務所
ルーフバルコニーへ [オウチ29・ピアノ室のある家]
オウチ29ピアノ室のある家の続きです。
年をまたぎまして、リビングから半階上にあるルーフバルコニーです。
リビングからは急な階段(はしご)を上って外に出ます。
はしごは木製で大工工事にて製作。手摺りはスチールのパイプでこれまた製作物です。
バルコニーはデッキ敷きとなっていて、周囲は壁で囲まれて隣家は見えません。
壁の両側にステンレスのフックを付けて、ここに洗濯ロープを張るように考えられています。
バルコニーからの室内見返し。
一段上がったところから見返します
石川淳建築設計事務所
階段とリビングとバルコニーへの階段 [オウチ29・ピアノ室のある家]
リビングと階段の関係がわかる写真です。
階段を上がって来て、左の黒の扉内は納戸書斎で同じレベルにリビングがあります。
半層下がった子供室の上が左のバルコニーで、リビングからはハシゴに近い角度の階段で上がります。
階段もハシゴも木製で、仕上げはウレタン塗装の白となっています。
石川淳建築設計事務所
造作AVボード [オウチ29・ピアノ室のある家]
リビングの北側の壁にはテレビを付けてあります。
最近の設計では、壁にテレビを付けるのはすっかり定番になりました。
そして、テレビの下にはHDレコーダー等を収める造作の棚を付けるのもすっかり定番です。
テレビから棚の中にケーブルを通せる経路を取るわけですが、毎現場ごろに試行錯誤しながら作ります。
コネクターの頭が通るように、それなりに広いトンネルを作る必要があります。
石川淳建築設計事務所
レンジフードデザイン [オウチ29・ピアノ室のある家]
レンジフードのデザインです。
勾配天井と天窓がからんでいるため、造作工事で煙突形に箱を作り、その中に薄型レンジフードを収めています。メンテナンスできるようにビスで箱側面の板が外れるようになっています。
薄型レンジフードは寸法も小さく、排気の引き出し方向が自由に選べるので重宝、しかもリーズナブルです。
キッチンは工務店さん仕様で [オウチ29・ピアノ室のある家]
オウチ29は1000万円代の工事費で作っていますが、キッチンは大きな費用のウエイトを占める部分です。そのため、今回は工務店さんがリーズナブルに入手できるメーカーの物を使用しました。
キッチンは白い扉で天板はステンレス、シンプルなものですが食洗機も組み込めました。
既製品のキッチンが空間に主張し過ぎないように、キッチンの背中は建築工事で腰壁を付け、レンジフードは既製品の比較的安価な物を大工工事の黒いBOXの中に収めました。
石川淳建築設計事務所
キッチンからの風景 [オウチ29・ピアノ室のある家]
キッチンに立って見た風景です。
正面にはバルコニーが見え、右の黒いドアは書斎納戸、白の腰壁の向こう側が階段になっています。
テレビを付けた右の壁の下には大工工事でAVボードを作り付けています。
石川淳建築設計事務所
リビングからの視線の抜けをバルコニーへ [オウチ29・ピアノ室のある家]
キッチンから見返します。
南方向にバルコニーを置いて、そこから採光しています。
写真の左の壁に窓をとって採光できると良いのですが、そちら側は隣地が2Mほど高くなっていて、しかもピッタリお隣が建っているので採光も空の眺望も期待できません。
そこで、こちらの方向にバルコニーを取ってリビングの採光と視線の抜けを確保しました。
石川淳建築設計事務所