マツバラハウス最終回 [マツバラハウス]

2020年2月末竣工したマツバラハウスの最終回です。
夜景外観です。
さて、建築には道路の幅によって高さの制限がありますが、ここでは「天空率」という方法で高さの制限を緩和してもらって建てています。
パソコンを使って計算して「道路から空が見える割合」が法令からオーバーしていないかをシュミレーションする方法です。
天空率をつかって、昔なら高さ制限に引っかかった三角屋根も作りやすくなりました。

さて、完成すぐに満室可動になったとの事で、賃貸物件としては最高のスタートが切れたようです。
久しぶりの特殊建築物の設計監理でした。
石川淳建築設計事務所
外構夜景 [マツバラハウス]

正面の植栽部分の夜景です。
階段の見えている外壁の凹んだ部分は実は共用のダストボックスを置くためのスペースです。
パンチングメタルを用いて透けて見える様になってますが、意匠的にそうした、というよりも・・・
実は奥行きスペースを無駄にしないために階段との仕切を極薄にするために通常の壁ではなく、パンチングメタル板にしました。


石川淳建築設計事務所
マツバラハウス303室 [マツバラハウス]

303室で最後の部屋です。
3階の一番北の端にあるので、東京都の北側高さ制限の一番きついパターンにあたっています。
家具は内覧者向けに展示しているものですが、展示すすまもなく入居者がどんどん決まって、あっという間に満室になってしまいました。


奥の和室は高さ制限のため、「正座」していないと入れません。

天井の低い部屋は頻繁に作りますが、集合住宅では珍しいかもしれませんね。
石川淳建築設計事務所
302室 [マツバラハウス]

マツバラハウス
3階は3室あり、その302室です。
ここも天井の梁には間接照明を入れ、屋根の形が出た勾配天井です。


柱の左下にあるのは避難ハシゴを収めた箱。
この規模の共同住宅の場合、避難バルコニーは無くても良いのですが、窓から避難するハシゴが必要。

室内ドアは全館既成品ですので枠が目立ちますが、それでもシンプルな製品を選びました。
石川淳建築設計事務所
3階は屋根型を天井に表シ [マツバラハウス]

マツバラハウスの3階の301室です。
40m2ほどの2LDKタイプとなっています。

玄関から室内を見ます。
他のワンルームと同じように靴入れには扉がありません。

リビングからの見返し。右に和室があり、左に洋室があります。

天井は建物の屋根型をそのまま表シの勾配屋根です。
石川淳建築設計事務所的には普段の建物でよく行う形ですが、クライアント会社様ではあまり経験が無いようで、大変好評でした。
天井が高いので、照明器具は実装して賃貸へ出されます。

鉄骨のラーメン構造をシンプルに作るため天井には大きめの梁が飛びます。
そこを利用して間接照明を設置。

和室の中から。

ラーメン構造のため出てくる大きな柱と梁を力業で間取りに落とし込んでいます。
グレー・緑・黒・黄色の貼り分け [マツバラハウス]

2階の主なワンルーム室の内部です。
造作ベッドから見下ろし。

2階も各室に色クロスを使ってバリエーションを作るように求められまして、提案した貼り分け方がこちらの方法。
窓ぎわの造作ベッドの上だけグレー色のクロスを貼っています。

こちらは緑色


黒のバージョン

そして黄色の部屋
片廊下のクリアランス 数センチ足り無いと破綻 [マツバラハウス]

マツバラハウス 2階の201室。ドアの外は・・・

片廊下の1つ目のドアが201。
さて、
余談ですが手摺りの外側の隣地境界線からの離れ寸法は数センチのクリアランスしかありません。
開放廊下としては、50センチ以上必要ですが、55センチ目標に納めて、ギリギリ開放廊下とできました。
ここが50センチ切ってくると・・・廊下が延べ床面積に入ってきて、全体の面積が500m2を超えて、超えてしまうと構造適判審査行きになり、そうすると確認申請取得までの時間がのびて、そうすると、東京都の安全条例の法改正に間に合わなくなり、結果、目論んでいた部屋の数がとれなくなって、収益が破綻するという流れ。
敷地の測量図が数センチ違うなんて事はよくある事なので、狂っていたらアウトですが、反対側に建物を寄せると、今度は避難通路が取れなくなるという、どこもかしこも ギリギリの計画です。
集合住宅の計画は、このように法令や収益のパズルを上手く解いた結果出来る事が多く、その上で意匠性や計画性を高める設計作業はなかなか大変です。

さて、201室は角部屋。


2つのオートロック入り口 [マツバラハウス]

マツバラハウス 奥の2階建て棟から入り口方向を見返します。
見えている2階と3階へは一旦門を出て違う入り口から入ります。

正面にある門で、オートロックになっています。
そして、右の開口へ進むと・・・

郵便ポストと宅配ロッカーがあり・・

その先にもう一つのオートロックがあります。
ここから先に201〜208室と301〜303室があります。

納まりに苦労した階段です。
石川淳建築設計事務所
ロフトのある211室 [マツバラハウス]

共用廊下の突き当たり(写真の背面方向)には211室があります。

部屋の奥から玄関方向を見ます。



南向きの2階でロフトは3階の高さにあります。
正面の窓は東京都の安全条例の避難口を満たす窓。


ロフトから見下ろし。
エアコンの上というのはどのメーカーもデザインされていないので、吹抜がる時はある種のあきらめの中で位置を決めます。

ロフトの床はビニル床タイル。
210もロフトの床はビニル床タイルです。
本当は下部屋の床もビニル床タイルを提案していましたが、不動産情報に「床はフローリング」と載せたいとの事でロフトのみビニル床タイルとなりました。
ちなみに英語の「フローリング」とは単なる床材の事なので、ビニル床タイルも英語で言えば広い意味でフローリングです。
石川淳建築設計事務所