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「竣工から1年、3.11も体験して考えること」 [オウチ18・仙台SOHOのある家]

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タイトルの「竣工から1年、3.11も体験して考えること」は2010年12月に仙台でお引き渡しした住宅、「オウチ18仙台SOHOの家」に引き渡し1年を越えてお住まいの感想を書いて頂いた文章のタイトルです。
大きな被害を受けた仙台市若林区に建築されたこの住宅は2010年12月引き渡しし、2011年3月に震災を受けましたが、大きな被害は無く2012年1月に1年検査をする事が出来ました。

写真は敷地を初めて訪れた時の若林区役所から見た敷地周辺の様子。(2009年の11月)



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以下オウチ18施主Y氏

石川さんの作品に興味を持ち、はじめてコンタクトをとったのが3年前。
設計をお願いし、プランが出てくるまでとても楽しみだったのを憶えています。
提案していただいたプランも、そのフォルムやプロポーションがミニマルで、機能的に構成された建物はじめ、敷地の捉え方や使い方がとても考慮されていて感動しました。

ウチが完成し住み始めてから3ヶ月たった昨年、3月11日に大震災がありました。
当時1階仕事室におりましたが、たくさんの本がある棚を押さえながら、2階で色々なものが散乱する音を聞いていました。
揺れが収まり家の外へ出てはじめて、瓦が落ち散乱している家、壁に亀裂の入った家などを見て、ただ事ではないことを知ったのでした。
さいわい、私たちが住んでいる地域は、地震被害の大小の違いはありましたが、津波の被害がなかったため、地震直後から家で生活することができました。
震災のひどい地区の知人や友人もいて、いまだに様々なことを考えさせられているのが事実です。
また、生活の基盤となる「家」という環境についても、多くの人たちが多様な見解や考えを巡らせているのだと思います。
被災のひどい地区が近くにあり、身近に目にする機会も少なからずあった私たちにとっては、「家」、「ウチ」というものが、はかなく不確かでありながら、「それがそこにあり、そこにいることができる」ということが、とてもありがたく幸運なことでした。
そして、当時まだ電気が復旧せず、夜になると街全体が暗くなるためか、天窓からたくさんの星がはっきり見えたのは、忘れがたい記憶の一つです。

海に囲まれ山があり、自然災害の多いここ日本ですが、一方で、季節の変化に富み、その自然環境も多様で豊か、美しい面もあるということを、このウチに住んでから1年が経ちあらためて気づかされることがあります。
使い勝手や機能を考慮しながら、ささやかだけれど大切な季節のうつろいや刻々と変化する光や風、天候のうつりかわり、あるいは気配のようなものを顕在化するしつらえ。
日々の生活のなかでそのような感性を刺激する瞬間を感じる機会は、石川さんの「つくること」への真摯な姿勢でデザインされているように思われます。
私たちの要望や敷地、土地柄などたくさんの条件がそのフィルターを通して考慮され、カタチになったものであると実感しています。
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